【トマトはどんな野菜】
トマトは南米アンデス高原が原産地のナス科の植物で、メキシコのアステカ族がアンデス山脈からもたらされた種からトマトを栽培し始め、1519年にメキシコへ上陸したエルナン・コルテスがその種を持ち帰りヨーロッパに伝わりました。
日本への渡来は観賞用として18世紀の初めに伝わり、明治に入ってから食用生産のために再導入され、栽培が一般化されたのは、1935(昭和10)年頃とされています。
ヨーロッパには「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがありますが、トマトを食べると健康になり医者が儲からなくなる位の健康増進効果があるのですね。
大きさによって大玉、中玉、ミニトマトに分類され、大玉は果重が200g以上、ミニトマトは20~30gで、その中間が中玉です。
果肉は甘く、ゼリー状の部分は酸味があります。
【栄養・効果】
トマトの赤い色は「リコピン」からくるもので、ビタミンEの100倍以上の高い抗酸化作用があります。
リコピンはストレスや紫外線、喫煙などによって発生する活性酸素を除去する働きがあり、紫外線ダメージの軽減、シミ・シワなどの肌の老化防止、がん、動脈硬化予防に効果があることが知られています。
ビタミンC、βカロテンは美肌効果があり、塩分の排出を助けるカリウム、腸内環境改善に役立つ食物繊維も豊富です。
より赤い色のものがリコピンは多く、皮に多く含まれるのでミニトマトのほうが含有率が高くなっています。
リコピンの1日の理想摂取量15mg以上を摂るには、大玉Lサイズ2個(約500g)、プチトマトなら17個(約250g)、加工食品はより効率的でホールトマト1/2缶、トマトジュース缶1本、トマトケチャップ4杯になります。
リコピンは摂取してから6~8時間後に細胞に行き渡るので、夜食べると翌日の日焼けによる肌の老化防止にもなります。
夕食前にトマトを食べるトマトダイエットなどもありますし、上手に日常の食生活に使っていきたい野菜ですね。
【注意点】
花粉症の症状がひどい時は、トマトのアレルゲンが花粉のアレルゲンと似ているため、アレルギー反応を起こすことがあるので避けましょう。
トマトは身体を冷やす作用があるので、寒い時期や冷え性の人は大量に食べるのは控えましょう。
【調理法】
トマトのビタミンCは加熱に強く、リコピンは加熱で吸収率が2~3倍になり、油に溶けやすいので油と一緒に取るとさらに吸収率がアップします。
イタリア料理、トマトソース、シチュー、スープ、カレーなどいいですね。
生でもドレッシング、マヨネーズ、オリーブオイルをかけるといいでしょう。
【選び方】
肩が張っていて固くしまったものを選びましょう。
持った時に重く皮の色がよくムラのないもの、ヘタは濃い緑色のものがよいでしょう。
【保存方法】
ビニール袋に入れ野菜室で保存します。
未熟な場合は常温で完熟させましょう。
【旬】
露地物は6~8月、ハウス栽培で通年流通しています。
日本では熊本県が最大の産地で、スーパーでくまモンの箱に入れられ売っているものをよく見かけますね。
【トマトの育て方】
3月に種蒔き、5月上旬に植え付け、7月~10月初旬までの収穫が一般的です。
連作障害がありますので、前に何を植えたかわからない市民農園などでは接木苗を使います。
庭などで植える場所を毎年把握できるなら、種から育ててもいいでしょう。
枯れるまで収穫できるので私は11月まで残していたこともありますが、目安としては9月下旬~10月初旬で片付けて次の準備をした方が良いようです。
太陽を好みますが、高温に弱く、昼夜の温度差がある方が良いとされています。
pH6.0~6.5の土を、根が深く伸びるので深く耕し、乾燥気味に育てるため、高畝にして排水をよくしマルチを張ります。
つるボケを防ぐため元肥は少なく、追肥で補います。
本葉8~9枚で一番花が咲き始めた頃に株間50cm位で定植します。
種から育てたものは寝かせ植えをすると茎からも根が出て、樹勢が強くなり病害虫に強く収量が増えます。
その場合、地上に本葉4枚以上出し、土に埋める部分は取ります。
接木苗は継ぎ目が埋まって茎からも根が出るため接ぎ木の意味がなくなりますので普通に植えます。
定植後たっぷり水をやりますが、以降は基本的に水やり不要です。
花は同じ側に咲き実がなるので、畝の外側に向けて植えると収穫作業がしやすくなります。
1本仕立てが基本でミニトマトは2本仕立てにする場合もあります。
一段目の花房に着果しないと実付きが悪くなるので確実に受粉させましょう。
通常は風の力で受粉しますが、人の手で花を揺すって受粉を助けることができます。
プロ農家ではトマトトーン(ホルモン剤)を散布する場合が多いようです。
家庭菜園でも、失敗しない栽培方法などを教える本やサイトでは使用を推奨していますが、私は多少うまくいかない場合があることは承知の上で、ホルモン剤は使っていません。
雨除け対策はしたほうが良いでしょう。しなくても作れますが雨に当たると裂果が多くなります。
栄養を正しく行き渡らせるため、こまめにわき芽かきをしましょう。
しばらくほっておくとあっという間に大きくなります。
多少大きくなったわき芽を苗代わりに植えて数を増やすこともできます。
連作障害はあるかもしれませんが、スペースがあるならダメ元で植えてみる価値はあります。
開花後50~60日が収穫の目安で、ガクが反り返ったら収穫適期、へたの近くまで赤くなったものから収穫します。
昼に光合成で作った養分を夜に実に蓄えるので、早朝に収穫するのが良いでしょう。
ミニトマトの場合は、収穫が遅れると 裂果 や落果の原因となるので早めに収穫しましょう。
カメムシ、オオタバコガ、アブラムシなどの害虫がいます。
私は特にカメムシには難儀しましたが、農薬を使わないのであればガムテープなどで捕まえるか、作業効率は落ちますが防虫ネットをかけた方がいいでしょう。
<コンパニオンプランツ>
ニラ、ニンニク、ネギなどネギ科植物の根に共生する拮抗菌が病原菌を抑えます。
マリーゴールドは根の分泌液でセンチュウを減らし病気にかかりにくくします。ただ花が咲くとオオタバコガの幼虫に注意しなければなりません。
バジルは乾燥気味に育てるトマトの余分な水分を吸収してくれます。トマト料理にバジルは使えるので一緒に植えると便利です。