【ピーマンはどんな野菜】
ピーマンはナス科の野菜で明治初頭にアメリカから伝わり、日本の一般家庭では1950年代以降普及しました。
独特の青臭さや苦味から、子供の嫌いな野菜の上位に選ばれることもありますが、大人になるとそれも美味しく感じられたりする場合もあるので、食わず嫌いのままではもったいない野菜です。
調理法によって工夫も可能ですので是非食べてみてください。
ピーマンと言えば緑色ですが未成熟なものを収穫しているためで、完熟すると赤や黄色、オレンジ色のカラーピーマンになります。
パプリカは、カラーピーマンの大型で肉厚な品種です。
【栄養・効果】
美肌、風邪予防、疲労回復、夏バテ予防、高血圧動脈硬化予防、脳梗塞予防、心臓病予防、などの効果があるとされています。
ビタミンCが豊富で、トマトの4倍ありレモンより多くなっています。
美肌を作るために必要なビタミンCは細胞と細胞をつなげるコラーゲンの生成を促し、抗酸化作用で免疫力を高め、風邪予防にも役立つといわれています。
ビタミンCは加熱に弱いものですが、厚めの果肉のピーマンは過熱によるビタミンCの損失が低く、また含まれるフラボノイドはビタミンCが熱で破壊されるのを軽減します。
ピーマンに含まれているβカロテンは、肌や粘膜の健康を保つ働きがあり、風邪予防やお肌の荒れを解消するために役立ちます。
βカロテンはビタミンCと一緒にとると動脈硬化予防に繋がります。
ルチン(ビタミンP)も豊富で、毛細血管に弾力性を持たせ強くし、高血圧の予防、動脈硬化や成人病予防、血液をサラサラにする効果があります。
ルチンには血圧を上昇させる物質のアンジオテンシン2を弱める効果もあります。
ピーマンのビタミンCと一緒にタンパク質をとるとストレス緩和作用があり、ビタミンB1を一緒にとると風邪予防効果が強まります。
【注意点】
子供のトラウマにならないよう無理強いせずに美味しく調理しましょう。
消化しにくいので赤ちゃんに生のまま食べさせるのは避けましょう。
それに苦くてきっと泣きます。
夏野菜ですので生のまま多量に食べると身体を冷やすので注意しましょう。
【調理法】
生でも食べられますが苦味があります。
フルーツピーマンなど苦味が少ない品種もありますので用途に合わせて選びましょう。
揚げ物や炒め物など油を使った料理にすると脂溶性のβカロテンをよく吸収し、ビタミンAの吸収率がアップし、上手く栄養素をとることができます。
また、青臭さが火を加える事で軽減されます。
苦みは油通しを行ったり、細胞を壊さないように縦に切ることで抑えることができます。
逆に輪切りにすればピーマン独特の風味がより強くなります。
種やワタ(内側の白い部分)は苦味が強いので取ってから調理します。
縦半分に切り、ヘタごとちぎり取ります。
独特の風味が嫌いでなければ種やワタも食べられます。
ピラジンという栄養素は種とワタだけに含まれています。
ピーマンの肉詰めや青椒肉絲(チンジャオロウスー/チンジャオロース)はお馴染みですね。
ミキサーでシェイクし、はちみつなどを入れてジュースにすればビタミンCをより効率的に摂取できます。
『簡単レシピ・ピーマンの肉詰め』
1.ピーマンを縦半分に切ってヘタを残し種と白いワタを取ります。
2.玉ねぎをみじん切りにします。
3.ボウルに合挽き肉と卵、塩こしょう、(好みで牛乳、ポン酢)を入れねばりが出るまでよく混ぜます。
4.薄力粉、玉ねぎを入れさらに混ぜます。
5.ピーマンの内側に薄力粉を薄くつけ、肉などを詰めて表面を平らにします。
6.フライパンに油を熱し、肉の面を下にして入れ、焼き色が付いたら返し、弱火で中まで火を通します。
7.火を止め、蓋をして余熱で1分蒸し焼きにします(より簡単にならこれは省きます)。
8.器に盛り、好みでケチャップやソースをかけます。
<材料>(10個)
ピーマン 5個
合挽き肉 250g
玉ねぎ 1/4~1/5個
卵 1個
塩 小さじ1/2~1/3
こしょう 少々
薄力粉 大さじ1
サラダ油かオリーブオイル 適量
トマトケチャップ 好みで
ソース 好みで
小麦(薄力粉)、鶏卵、牛乳は食物アレルギーの3大食材ですので、該当のある方は使わずに調理しましょう。
【選び方】
肩がしっかりと盛り上がったもの、皮が肉厚で艶のあるもの、軸の付け根が太くみずみずしいものを選びましょう。
【保存方法】
密閉を避け7-8℃程度の場所で保存します。これより低温だと低温障害で傷んだり果肉の張りが失われます。
夏場以外は常温での保存もできます。
水気に弱いので水気は拭き取ります。
緑色のピーマンは1週間を目安に、赤やオレンジ、黄色などの完熟したピーマンは保存がきかないので早く食べきりましょう。
【旬】
夏野菜で露地物は元々7月から9月が旬ですが、最大の産地茨城では4~6月を中心に、冬も鹿児島、宮崎、高知などで生産され今は通年流通しています。
【ピーマンの育て方】
4月下旬~6月上旬に植付け、7月から10月にかけて収穫します。
遅めの6月中旬に植え付けても問題なく成長しましたので育てやすい野菜だと思います。
5月の連休前後の定植が一般的ですが、気温が安定するまで不織布のトンネルで覆う場合もあります。
高温を好み、多湿と乾燥には弱いとされています。
苗作りは2月下旬の種蒔きで温度管理が難しく植え付けまで70日以上かかるので、家庭菜園では市販の苗を使ったほうがいいでしょう。
一株30~40個採れ、うまく行けば50個を超えますが、追肥が必要です。
ピーマンは肥料好きなので、充分な肥料を与えます。
初期からリン酸を与えることで実付きが良くなります。
本葉10~14枚で一番花が咲き始めたら、晴天の午前中に定植します。
適温は22℃~30℃、高温に強く低温に弱いので早植えは避けましょう。
株間50~60cmで根を崩さず浅めに植え仮支柱を立てて支えます。
定植後たっぷり水やりします。
一番花は株を大きくするために摘み取ります。
主茎が伸びたら高さ100~150cmの垂直の支柱を立てて、支柱を横にも渡して隣の支柱と連結して補強します。
株元に稲わらなどを敷いてマルチングし、乾燥と雑草を防ぎます。
一番花のすぐ下の2本の側枝を伸ばし、その下のわき芽を摘み取って3本仕立てにします。
乾燥するようなら水やりをしますが、細かく分けるより一度にたっぷりやり、泥の跳ね返りに注意しましょう。
ピーマンは開花から15~20日が収穫適期でハサミで切って収穫します。
収穫の度に内側のわき芽を摘み取ります。
未熟でも完熟でも食用できるため、樹勢が弱い時は若採りし、樹勢が強い時は40日以上かけて完熟後に収穫するなど
株の育成をコントロールします。
アブラムシ、カメムシ、タバコガ、ヨトウムシなどの害虫がいますが、比較的害虫や病気の被害は少ないようです。
連作障害があるので同じ場所での栽培は4~5年あけます。
ニラやマリーゴールドと混植すると根につく病原菌を防ぎ多少連作障害を避ける効果があります。
<コンパニオンプランツ>
長ネギ、玉ねぎ、ニンニク、ラッキョウ、ニラなどのネギ類は害虫忌避効果、病気対策として効果があります。
バジルやシソは害虫忌避効果がありますが、大きくなるのでピーマンが日陰にならないように収穫を兼ねて切り戻しをします。
パセリは害虫忌避効果と株元の乾燥を防ぐ効果があります。
マリーゴールドは根の分泌液でセンチュウを減らし病気にかかりにくくします。ただ花が咲くとオオタバコガの幼虫に注意しなければなりません。
ラッカセイは土壌を肥沃にし養分の吸収を良くします。